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なぜフランチャイズはトラブルが起きやすい?
フランチャイズビジネスは多くのメリットを持ちながらも、トラブルが生じやすいビジネスモデル。
主に以下のような理由で、フランチャイズはトラブルになりやすいと言えます。
- 予測収益と実際の収益が大きく下回る
- 期待するほど本部のサポートやアドバイスが得られない
- 看板や内装、外装を自由に変えられない(ことが多い)
- 本部による経営指導やノウハウ提供がない
上記は一例ですが、トラブルの多くは「こんなはずじゃなかった」というフランチャイズ本部と加盟店のギャップから来ることが多いでしょう。
また、契約内容をしっかり把握できていないことで、高額な違約金が請求されるケースも少なくありません。
次からは、実際にフランチャイズでよくあるトラブルを見ていきましょう。
フランチャイズでよくある7つのトラブル
フランチャイズでよくあるトラブルは以下の7つ。
- 売上予測と実際の業績が乖離する
- 解約違約金が払えない
- ロイヤリティが払えない
- 加盟金の返金についてのトラブル
- 運営の自由度が低い
- 契約終了後でも同業で独立できない
- 期待したサポートが得られない
1つずつ見ていきます。
売上予測と実際の業績が乖離する
フランチャイズビジネスにおいて、売上予測と実際の業績の乖離はしばしば大きな問題となります。
フランチャイズ本部は、成功した事例や理想的なケースを基に売上予測を提供することがありますが、各加盟店の立地や市場環境によっては、これらの予測が実現しない場合があります。
また、予測と実業績のギャップは、加盟店の運営者に不信感を感じさせ、フランチャイズ本部との信頼関係に影響を与える可能性があるでしょう。
高額な加盟金や初期費用を支払ったのに、期待していた業績が出なければ、確かに不信感が出てもおかしくはありません。
解約違約金が払えない
契約解除にともなう解約違約金も、フランチャイズビジネスでよくあるトラブルの種。
なぜなら、解約違約金の支払いは金額も大きく、加盟店の経済的困難を引き起こす可能性があるからです。
多くのフランチャイズ契約には、加盟店がフランチャイズ契約を途中解除する際に支払う違約金が規定されています。
契約締結前に、違約金や契約条件を含む契約内容をしっかり理解し、可能な限りリスクは抑えるようにしましょう。
ロイヤリティが払えない
売り上げが低迷したり、経営環境が悪化したりすると、加盟店はロイヤリティの支払いが負担になるケースがあります。
ロイヤリティはフランチャイズ本部の収益の1部であり、払えないとなるとフランチャイズ本部と加盟店の関係にヒビが入り、トラブルの元になるでしょう。
また、ロイヤリティの未払いは契約違反にもつながる可能性が高くなります。
加盟する前にフランチャイズのロイヤリティ相場を知り、健全な事業運営ができるよう努めることも大切です。
加盟金の返金についてのトラブル
フランチャイズビジネスでは、加盟金の返金に関するトラブルがしばしば発生します。
加盟店がフランチャイズ本部との契約を解消した場合、一般的には加盟金が返金されることはありません。
しかし、加盟金の返金にはフランチャイズ本部側の事情によるものであれば、全額または一部の返金が認められる場合があります。
とはいえ、基本的にな加盟金の返金は認められないため、覚えておくことでトラブルを回避できるでしょう。
運営の自由度が低い
フランチャイズビジネスにおいて、加盟店の運営の自由度が低いと感じることはよくあります。
特に、フランチャイズ本部の厳しいルールやガイドラインに縛られ、独自のアイデアや取り組みを制限される場合、フランチャイズオーナーはやりにくさを感じるかもしれません。
実際に、コンビニで賞味期限近くの商品を値下げしたことにより、本部と加盟店でトラブルになったケースも。
ここで大切なのは、契約時に自由度の範囲をしっかり理解し、本部との調整を円滑に行うこと。
本部とのコミュニケーションをしっかり行い、理解を増すことで、運営におけるスムーズな協働が期待できるでしょう。
契約終了後でも同業で独立できない
フランチャイズビジネスで問題になるのが、契約終了後の「競業避止義務」に関するトラブルです。
競業避止義務とは・・・フランチャイズ契約終了後、一定期間同業のビジネスを開始しないという約束のこと
この義務は、フランチャイズ本部のノウハウや顧客情報の保護を目的に設けられ、フランチャイズ契約に含まれることが一般的です。
加盟店は契約終了後に同業で独立を考える場合、競業避止義務が適用される期間や範囲を十分に理解し、今後のビジネスプランニングに役立てることが大切です。
また、契約段階で競業避止義務の詳細に目を通し、理解を深め、必要であれば専門家と協議することも重要となるでしょう。
期待したサポートが得られない
フランチャイズビジネスの魅力の一つは、フランチャイズ本部からのサポート体制です。しかし、「期待したサポートが得られない」というトラブルが生じることも少なくありません。
加盟前の説明時点ではサポート体制に安心感を持っていたとしても、いざ開業してみると「思ってたのとは違う」となるケースはよくあることです。
もし期待外れのサポートで困っている場合、まずはフランチャイズ本部とのコミュニケーションを強化しましょう。
そうすることで、サポートに関するトラブルは解消できる可能性が高いです。
実際にあったフランチャイズのトラブル事例
ここでは実際に起きたフランチャイズのトラブル事例を紹介します。
- 情報提供義務違反の判例
- 競業避止義務の判例
情報提供義務違反の判例
1つ目は、加盟店からフランチャイズ本部に対し、「情報提供義務違反に違反している」と主張し、損害賠償の請求をした事例です。
この件は、フランチャイズ本部が説明すべき収支に関するリスクを怠ったことで、加盟店が閉店せざるを得ない状況に陥ったと認められたケース。
フランチャイズ本部が提供した目標値は、本部が直営店時代の実績をもとに作成されたものでしたが、その数値は達成できない目標値となっていました。
なぜなら、収支計画は開業資金を自己信金で賄う前提でいたため、開業資金を借入金で賄うとなれば、赤字になる恐れがあったため。
フランチャイズ本部は加盟希望者が開業資金を借入金で賄うことを知っていたにも関わらず、その情報を知らさないまま契約を締結したとのことです。
フランチャイズ本部の提供する収支予測は、容易に予測できるリスクも含まれているかが重要。
本部側で加工・修正された数値を用いて収支予測している場合がよくあるため、加盟店の状況に沿って作成されたものかどうかは、契約締結の判断基準となるでしょう。
競業避止義務の判例
学習塾のフランチャイズチェーン本部(原告)が加盟店(被告)に対し、競業避止義務に反すると主張し、違約金等の支払いが認められたケースです。
この件は、学習塾のフランチャイズに加盟した被告が、後に学習塾を独立開業したことがきっかけとなっています。
結果的に原告の請求した違約金(「月間平均ロイヤリティ×残存期間月数」)が認められました。
競業避止義務は、ランチャイズ本部のノウハウや営業利益を保護するために正当な目的を持つということ。
そのため、「ノウハウだけを得て、のちに独立開業したい」という目論見で加盟するのはリスクがあるでしょう。
フランチャイズでトラブルに遭った時の解決策
初めのステップは、問題の正確な理解と、フランチャイズ本部とのコミュニケーションを深化させることです。事の経緯を正確に把握し、具体的な解決を目指しましょう。
フランチャイズ本部との話し合いによる解決が難しい場合、第三者機関である調停や仲裁を利用する選択肢もあります。
法的手段が必要な場合は、専門家、特に弁護士の協力を得ることを検討しましょう。
どの選択肢を取るにしても、事実関係を明確にし文書化しておくことで、問題解決がスムーズに進む可能性が高まります。
また、先のトラブルを防ぐために、初めの段階で契約内容をしっかりと確認し、理解しておくことも大切です。
フランチャイズのトラブルを回避するには?
フランチャイズでトラブルに遭わないためには、以下の項目を意識しておきましょう。
- 納得がいくまで加盟しない
- 契約内容をしっかり確認する
- 評判や集団訴訟の有無を確認する
- 本部のサポートを最大限活用する
- 顧問弁護士を雇うのも手
1つずつ見ていきましょう。
納得がいくまで加盟しない
納得せずに契約する行動は、後にトラブルのもとになります。
なぜなら、フランチャイズは投資が必要であり、加盟してから疑問や不安が解消されないまま業務を進めること、ビジネス運営に大きなリスクをもたらすからです。
例えば、提供されるサポート内容やロイヤリティの計算方法、地域のマーケットについて不明確なままスタートしたとします。
上記のような場合、思うような売り上げを上げることができず、ロイヤリティ支払いに苦しむ結果となり、ビジネスは持続が困難となるでしょう。
契約前には十分な調査と確認、そして、納得してから契約を交わすようにしてください。
契約内容をしっかり確認する
フランチャイズを始める前には、しっかりとした契約内容の確認が不可欠。
なぜならフランチャイズの円滑な運営は、明確な契約内容の理解と、そのもとでの協力体制が基本にあるからです。
契約内容には本部と加盟店との権利義務が詳細に記載されており、そこに記載されている項目を各パートナーが守ることで、トラブルを未然に防ぎます。
契約内容を十分に理解していないと、以下のようなトラブルになる可能性があります。
- ロイヤリティ支払いの誤解から思わぬ追加支出が発生する
- 別エリアに独自出店したくてもできない
- 独自のマーケティング活動の制約を受ける
上記のようなトラブルを防ぐため、フランチャイズ開始前には、契約内容をしっかり確認しておきましょう。
評判や集団訴訟の有無を確認する
フランチャイズ選びに事前の調査は大切です。その際、加盟を検討しているフランチャイズの評判や集団訴訟がないかを確認しておきましょう。
実際の運営実態を知ることで、将来的に同様のトラブルに巻き込まれるリスクを減らせます。
集団訴訟歴のあるフランチャイズは、何かしらの問題やサポート体制の不備があった可能性があります。
また、他のフランチャイズオーナーの評判や評価も見極める材料の1つ。
ただし、あくまで口コミは主観的な意見ですので、鵜呑みにしすぎる必要もありません。気になる点があれば、直接担当者にたずねてみましょう。
じっくりと評判や実績を調査し、信頼できるパートナーを選んでください。
本部のサポートを最大限活用する
フランチャイズ本部のサポートを活用することは、トラブル回避につながります。
特に運営初期においては、経験不足からくるトラブルを避けるために、本部のサポートが非常に役立ちます。
たとえば、マーケティングノウハウをフルに活用することで、初期の集客不足による売上不足を防ぐことが期待できるでしょう。
また、提供されるマニュアルを元にしたスタッフ教育は、サービスのブレを防ぎ、顧客トラブルを減らす効果も。
このようにフランチャイズ本部のサポートを積極的に活用すれば、運営でのトラブルをうまく回避することにつながります。
顧問弁護士と契約する
顧問弁護士を雇うことは、フランチャイズ運営における法律的なトラブルを未然に防ぐ手段。
なぜなら法的なトラブルは、ビジネス運営において複雑な問題を生み出すからです。
専門的な知識を持つ顧問弁護士は、契約内容のチェックや運営上の法的リスクを予測し、その対策をアドバイスしてくれます。
万が一法的なトラブルまでに発展した場合でも、加盟店の不利にならないよう解決に向けて進めてくれるでしょう。
フランチャイズ運営における法的サポートは非常に重要ですので、余力があるなら顧問弁護士と契約するのもおすすめです。
よくある質問
ここでは、フランチャイズのトラブルに関するよくある質問をまとめました。ぜひご活用ください。
違約金の相場はいくらくらいですか?
フランチャイズの違約金に関しては、フランチャイズ本部ごとに設定しているため、一般的な相場はありません。
参考までに、多くのフランチャイズでは「◯ヶ月分のロイヤリティ」といった形で定められているようです。
いずれにせよ決して低い金額ではないので、契約解除は慎重に判断したほうがよいでしょう。
フランチャイズ契約はクーリングオフできますか?
フランチャイズ契約は消費者の購買契約とは異なるため、クーリングオフの対象外です。
フランチャイズの欠点は何ですか?
フランチャイズの欠点(デメリット)と考えられるのは以下の通り。
- 運営の自由度が低い
- フランチャイズ本部の方針に従う必要がある
- 利益の一部をロイヤリティとして支払う必要がある
フランチャイズのメリットやデメリットについて詳しく知りたい方は、「フランチャイズのメリットと覚えておきたいデメリットを徹底解説」をご覧ください。
フランチャイズで気をつけることはなんですか?
フランチャイズで気をつけるべき点は、まずフランチャイズ本部の実績と評判を丁寧にチェックすることです。
また、提供されるサポート内容、ロイヤリティの詳細、契約条件など、細かな部分に目を通し、理解を深めることも大切でしょう。
既存の加盟店オーナーと話をするなど、フィールド調査も重要。
そして、自身のビジネススキルと経済力を現実的に評価し、長期的な運営が可能かどうかを検討してください。
まとめ
フランチャイズは何かとトラブルが多いビジネスモデルです。
投資金額も高額になる傾向が多いため、事前に契約内容をよく把握し、トラブルを未然に防ぐ努力が必要になります。
とくに運営状況が悪化した際はトラブルに発展しやすいため、サポートを最大限活用することも大切です。
トラブルのない健全なフランチャイズ運営を目指してください。