フランチャイズビジネスは、フランチャイズが得するようになっているのではないかと疑問や不安に感じる方は少なくありません。実際に、フランチャイジーとフランチャイザーが裁判沙汰になった事例はたくさんあります。
しかし、ビジネスをする上でこのようなことはどんなビジネスでも起こりうることです。大切なのは、問題に気づけることとしっかり向き合い対処することです。
今回は、「本当にあったフランチャイズ裁判の事例」をご紹介します。
ロイヤリティの算定方法による齟齬問題
これは、大手コンビニエンスストアの事例です。
加盟店は、フランチャイズ本部に対して「チャージ（ロイヤリティ）」という契約上の対価を支払います。加盟店側は、ロイヤリティ計算の基礎となる売上高から控除されるべき「廃棄ロス原価及び棚卸ロス原価」の金額が控除されておらず、その分のロイヤリティの返還を求めた裁判を起こしました。
この裁判の判決結果
本裁判の原審である東京高裁は、本部と加盟店の間で「売上高に廃棄ロス原価及び棚卸原価ロスを含める」という意思の相違があり、法律上廃棄ロス及び棚卸原価ロスを含めて算定されたロイヤリティは不当利益として返還すべきだとしました。
これに対して最高裁判所は、東京高裁の判決を破棄したのです。
その理由は、加盟店に対してのマニュアルに記載されているロイヤリティ計算方法に廃棄ロス原価及び棚卸原価ロスを含める内容があったことから、フランチャイズ契約の条項では、廃棄ロス原価及び棚卸原価ロスを売上高から控除されるべき費目に含めないと定めることがいえるとしたからです。
競合店を本部が近接させた際の事案
これは、ゴルフ等のスポーツ用品の販売やレンタル売買するフランチャイズチェーンの事例です。このフランチャイズ加盟店は、フランチャイズ本部が自分が営む店舗の近隣に他の加盟店を出店させたとして、本部に損害賠償を請求しました。
この裁判での判決結果
加盟店は、本部から交付された立地診断報告書を根拠に商圏の範囲内で出店させない義務を負うと主張しました。しかし、立地診断報告書は、店舗の立地を総合的に評価するものであって、そのような理由で出店させない義務を負うものではありません。
また、本部が原告となる加盟店の店舗近隣で他の加盟店を出店させたことで経営が悪化することを認識していたのにも関わらず、指導援助義務を怠ったという主張に関しては、原告の店舗を訪問し個別指導を行っていることから、一定の指導及び援助が行われているので問題ないという結果に。
したがって、基本契約となるフランチャイズ契約書に規定がないことの義務を負わせることはできず、損害賠償を払わせることもできないという判決が下されました。
加盟店が本部の労働者に該当するかについて
とあるコンビニエンスストアの加盟店が他の加盟店らを集いユニオンを結成し、本部に対して団体交渉のルール作り等を協議事項とする団体交渉の申し入れをしました。
フランチャイズ本部は、加盟店らを「労働者」ではなく独立した事業主であるからこれに応じられないと応じなかったので、これが「労働組合法の不当労働行為」にあたるとして労働員会に救済の申し立てをしました。
この裁判での判決結果
まず加盟店主たちが労働者に該当するかどうかについては、以下を判断要素として総合的かつ実質的に判断する必要があります。
- 事業組織の組み入れ
- 契約内容の一方的・定型的決定
- 報酬の労務対価性
- 業務依頼に応ずべき関係
- 広い意味で指揮監督下の労務提供・一定の時間的場所的拘束
- 顕著な事業性
フランチャイズ加盟店は、フランチャイズ契約により独立した事業者ですが個別の交渉においては交渉力に格差が生じ労働組合を組織し集団的な交渉による保護が図られるべきもの幅広く含まれると解するのが相当です。
本件においては、上記の判断要素から以下の理由で労働組合法上の労働者に当たると言えます。
- 加盟店主の存在や加盟店舗経営・運営は、会社（本部）にとって不可欠な存在と評価できる
- 契約書に関しては会社が用意した定型的な内容であり当事者間の交渉で変更されることがなく、加盟店と本部との間に交渉力格差が認められる
- 加盟店の収入は、コンビニ店の運営などの労働によって得た利益が対価である
- 加盟店は本部が提供する新サービスなどを拒むことは実質的に困難
- 加盟店主は本部の指揮監督の元に経営・運営を行っている
- 加盟店の事業性は限定的で顕著とまでは言えない
まとめ｜フランチャイズ契約で分からない部分は調べておこう！
フランチャイズ契約には想定もしなかったようなことが起こる可能性は誰にだってあります。フランチャイズ契約書は文章だらけで正直読むのも面倒だと感じますが、それがトラブルの元です。契約に関することで意味がわからないことは、わからないままにするのではなく調べることが大切。契約内容をしっかり把握していれば、トラブルを未然に防ぐことができるでしょう。
フランチャイズに関する不安や疑問などは、【無料相談窓口】にてお気軽にご相談ください。アナタの夢をサポートいたします。
