飲食店の営業許可申請のやり方とは?必要な書類や費用などの基本を徹底解説

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飲食店の開業に欠かせない営業許可は、管轄の保健所に申請し、実地検査などを経て交付されます。

この記事では、飲食店の営業許可を受けるための流れと必要な書類の一覧を紹介します。

申請に必要な書類を揃えることができれば自分で申請することも可能です。

営業許可申請に関する基本的な情報を知り、自分で申請できるようにしましょう。

飲食店の営業許可とは

飲食店を開業する場合、路面店であれキッチンカーであれ「営業許可」を受けることが食品衛生法で定められています。

保健所に所定の申請書類を提出し、保健所の検査を通過すると営業許可書が交付される流れです。

飲食店の営業以外にも、食品の製造や販売を行う場合には営業許可が必須。

基準を満たした設備が必要なため、あらかじめどのような基準が定められているのか確認しておきましょう。

営業許可を受けるためには食品衛生責任者を1名以上配置したうえで、7種類の申請書類を揃えて申請を行います。

営業許可がおりるまでに2〜3週間ほどかかるため、開業ギリギリではなく、ある程度の余裕を持って申請手続きを行ってください。

新規で申請する場合と継続申請(更新)の場合で、申請の流れや必要な書類が異なります。

まずは新規で申請する流れを見ていきましょう。

【新規の場合】飲食店の営業許可申請の流れ

新規で飲食店の営業許可申請をする場合は次の流れで進めます。

  1. 保健所への事前相談
  2. 営業許可申請書類の提出
  3. 施設完成の確認検査
  4. 営業許可書の交付
  5. 営業開始

1つずつ見ていきましょう。

1.保健所への事前相談

営業許可を申請する際には、まず管轄の保健所へ相談に行くことをおすすめします。

  • 定められた基準に合致した施設か
  • 基準に合わせて改善する箇所はあるか

上記の内容を事前に確認しておけば、準備が整った状態で申請できるため、スムーズに許可がおりるでしょう。

工事着工前に施設の設計図を持参して確認しておくことで、基準に適さないことに後から気づくというトラブルを避けられます。

2.営業許可申請書類の提出

保健所に事前相談をして問題なさそうであれば、申請書類を用意して提出します。

営業許可申請のために必要な書類は以下の7種類です。

  1. 飲食店営業許可申請書
  2. 営業設備の大要・配置図
  3. 内装の配置の平面図
  4. 場所の見取り図
  5. 登記事項証明書
  6. 水質検査成績書
  7. 食品衛生責任者の資格を証明する書類

書類の提出時点で「食品衛生責任者」の配置が決定している必要があります。

資格取得や資格保有者の雇用は書類提出までに済ませておきましょう。

各書類の詳細は後ほど詳しく解説します。

先に確認したい方は「飲食店の営業許可申請に必要な書類」の章をチェックしてください。

3.施設完成の確認検査

申請書類を提出後に施設が完成すると、保健所の担当者が現地調査に訪れます。

  • 規定に沿った構造になっているか
  • 許可された設備が設置されているか
  • 衛生面で不安な部分はないか

上記のような点をチェックされますが、基本的には事前相談の時点で不安点は解消されているはずのため、あまり身構える必要はないでしょう。

実地検査で見られるポイントは具体的に以下のような点です。

  • 食器棚に扉がついているか
  • 給湯器が設置されているか
  • 厨房に蓋付きのゴミ箱があるか
  • 調理場と客席が分けられているか
  • シンクの幅が基準を満たしているか
  • 厨房の床が清掃しやすくなっているか
  • 厨房・トイレに手洗い場が設置されているか

実地検査の後に不備を指摘されると工事をやり直さなければいけなくなります。

事前相談で不安な部分は必ず解消しておき、再工事にならないようにしましょう。

4.営業許可書の交付

実地検査を済ませた後、後日保健所の窓口で「営業許可証」の交付を受けます。

実地検査の当日には交付を受けられないため注意しましょう。

営業許可書の受け取りに必要な引換書は検査完了時に渡されることが多いですが、自治体によって異なります。

引換書に書かれている交付開始日から1か月以内に引き取りましょう。

万が一、引換書を紛失した場合には、申請者の本人の身分証明書や委任状などが必要です。

郵送を希望する場合、自治体によっては対応してもらえることがあるため、保健所を訪れる余裕がない時は先に相談してみてください。

5.営業開始

営業許可書が届いたら店内に掲示し、営業を開始します。

営業許可書はお客さんから見える場所に掲示する必要があるため、レジの横や入口の近くなどがおすすめです。

キッチンカー(移動販売)の場合は「許可済証」と呼ばれるステッカーを、許可書の代わりとして使うことができます。

【継続の場合】飲食店の営業許可申請の流れ

続いて営業許可の継続手続きの流れを見ていきましょう。

飲食店の営業許可は永久に有効ではなく、5〜8年ごとに定期的な更新が必要です。

更新手続きをすることなく営業を続けると違法行為に当たります。

営業許可書の下部に記載されている有効期限の10日前までに、許可書原本を保健所に持参して更新手続きを行います。

更新の場合にも衛生面や設備の状態を確認するための実地調査があり、検査後2〜3日で新しい許可書に交換となります。

飲食店の営業許可申請に必要な書類

ここからは、飲食店の営業許可申請に必要な7種の書類について見ていきましょう。

  1. 飲食店営業許可申請書
  2. 営業設備の大要・配置図
  3. 内装の配置の平面図
  4. 場所の見取り図
  5. 登記事項証明書
  6. 水質検査成績書
  7. 食品衛生責任者の資格を証明する書類

書類は各自治体で様式が指定されていることがあるため、管轄の保健所のホームページなどで確認することをおすすめします。

【例】

東京都福祉保健局|食品衛生の窓 食品関係営業許可と届出(旧法許可) 様式一覧

1.飲食店営業許可申請書

「飲食店営業許可書」は申請のために必ず必要な基本の書類です。

保健所の窓口で受け取るか、ホームページからダウンロードして使用します。

自治体によって書式が異なる場合があるため、管轄の保健所の発行する書式を使いましょう。

2.営業設備の大要・配置図

「営業設備の大要・配置図」は、店舗の面積などの概要を記載する書類を指します。

店舗の面積以外には、設備の配置やトイレの位置・構造、壁の材質や厨房の構造など、店舗内のことを細かく記載。

この書類を元に現地調査をしたり、許可の可否が決定されたりするため、基準に合うか悩む点があれば事前相談で確認しておきましょう。

3.内装の配置の平面図

内装の配置の平面図とは、店内のどこに何があるのかを平面に書き起こした書類です。

多くの場合、「営業設備の大要・配置図」の裏面に書くことになります。

記入する情報は以下のような情報です。

  • 出入口やトイレの場所
  • テーブルや椅子の配置
  • 厨房内の設備の位置

内装工事を請け負う業者に依頼する場合は自分で準備する必要はありません。

自分で手書きする場合には定規を使って丁寧に作成することをおすすめします。

4.場所の見取り図

「場所の見取り図」とは、どこに店舗があるのかを示す書類です。

手書きの地図を記載するのも良いですが、Googleマップなどの地図を印刷して所在地を丸などで囲むのも見やすいです。

5.登記事項証明書

法人が営業許可を申請する場合には「登記事項証明書」も必要です。

役所の窓口等で発行できる「履歴事項全部証明書」が登記事項証明書に該当します。

6.水質検査成績書

「水質検査成績書」は貯水槽の水や井戸水を使う際に提出する書類。

ビルやショッピングセンターなどのテナントとして開業する場合、多くは共用の貯水槽の水を使うことになるため提出が必要です。

管理会社や大家に水質検査成績書が欲しい旨を伝えればもらえるでしょう。

7.食品衛生責任者の資格を証明する書類

飲食店の経営では、「食品衛生責任者」を最低1名は配置しなければいけない決まりになっています。

選任された責任者が本当に資格を持っていることを証明するために、講習合格後に発行される「食品衛生責任者手帳」を提示することが多いです。

営業許可がおりない原因とは?

新規の営業許可の申請では、不備がなければ基本的に許可が通らないことはありません。

しかし、次の2点が理由で許可が受けられないことがあります。

  • 申請者が食品衛生法違反で処分を受けたことがある
  • 営業許可の取消処分から2年以内

万が一、営業許可がおりなかった場合には、欠格事由に当てはまっていないか確認しましょう。

営業許可の申請にかかる費用

営業許可申請には手数料が必要になり、飲食店の営業形態や地域などによって異なります。

管轄する保健所などのホームページなどから、費用を確認しておくと現地で慌てずに済むでしょう。

たとえば、東京都新宿区の場合は以下のように定められています。

業種新規申請継続申請
飲食店営業18,300円8,900円
飲食店営業(移動・臨時)5,600円2,700円

(参考:新宿区|営業許可業種と申請手数料一覧

無許可で営業してしまった場合に課せられる罰則

路面店・キッチンカー(移動販売)・期間限定店といった形態やお店の規模に関わらず、営業許可なしに営業すると違法です。

2年以下の懲役または200万円以下の罰金が課せられるだけでなく、営業停止処分と2年間にわたって営業許可を得られない状態になります。

ブランドもない小さな店舗ではバレないと思うかもしれませんが、警察の抜き打ち検査や消防の査察などで発覚する可能性がゼロではありません。

処分を受けることはお店の信用に関わるため、必ず営業許可が受けてから営業を開始しましょう。

自分で申請が難しければ行政書士に頼むのもアリ

もし、自分で営業許可申請をすることに不安があったり、罰則を受けないために徹底的に書類などを揃えたいのなら、行政書士に頼む方法もあります。

行政書士は官公署に提出する書類の作成や提出などを行う、国家資格を持つ専門家のこと。

飲食店の営業許可申請の場合には、以下のようなことを担ってくれます。

  • 許可申請書の作成
  • 営業設備の大要などの作成
  • 申請用の図面の作成
  • 保健所との事前打ち合わせ
  • 許可申請書の提出
  • 保健所の検査への立会い
  • 営業許可書の受け取り

行政書士に依頼することで、手続きの不備で再提出になったり、許可がおりなくなったりするトラブルを回避することが可能。

依頼には費用がかかりますが、スムーズに申請が進むメリットがあります。

ご自身の手間と費用を天秤にかけて検討しましょう。

飲食店の営業許可は自分で申請することが可能

飲食店の営業許可は保健所への事前相談をしておけばスムーズに進むでしょう。

あらかじめ問題点や改善点を教えてもらうことで、申請やその後の実地検査で否認されることも避けられます。

行政書士に任せて手続きを代理してもらうこともできますが、比較的簡単に手続きできるため自分でやることも可能です。

営業許可なしに経営を始めてしまうと罰則の対象になるため、必ず許可を受けてから開店してくださいね。

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